【導入事例】株式会社スポーツニッポン新聞社様
歴史あるアナログ商材企業の変化と挑戦
「自社の持つアナログのリソースとデジタルの世界を結びつけることができる自社の業務に精通した通訳のような人材」を育成すべく健闘している株式会社スポーツニッポン新聞社様。DX人材育成支援サービス「DXpass」をどのように活用してその目的達成に向けた学習をされているのでしょうか。
活用方法や目指す組織像まで、幅広くお伺いしました。
山本:
まずは御社の事業と、藤原様、塩原様のご経歴について教えてください。
藤原様:
スポーツニッポン新聞社は、新聞やWEBを通して、芸能やスポーツニュース、中央競馬をはじめとするギャンブル情報、政治・社会報道などを届ける総合メディア企業です。スポーツ新聞の中では日本最大級の発行部数を誇るほか、WEBサイト「スポニチアネックス」は年間約20億PVをマークしております。それ以外にも中央競馬などの特集号や写真集、日本初の子供向けスポーツ紙「スポニチジュニア」などを発行しています。スポーツ・文化事業にも力を入れており、社会人野球やゴルフ、マラソンなどの主催・後援事業を多数開催しています。
山本:
ご担当者様の社内のキャリアパスについてお聞かせください。
藤原様:
1999年の入社以来、東京本社販売局に22年間勤務しました。主に新聞の販売促進を目的に、ディーラーである東日本の新聞販売店との部数調整や販促戦略の立案などを担当。販売第二部長に就任後、2021年10月に現所属の経営企画室に異動。現在、経営企画室次長として勤務しています。
塩原様:
1988年入社以来、新聞のレイアウトを考え見出しを付ける整理部に12年間勤務しました。2000年に人事部へ異動。2006年に大阪へ転勤し、2年半後東京へ戻りました。2019年6月経営企画室に異動。2021年に再度人事へ異動。現在、専務執行役員人事・総務本部長として勤務しています。
山本:
ありがとうございます。現在ご担当されている業務内容と、DXpassとの関わりについてもお聞かせください。
藤原様:
経営企画室として全社の経営戦略全般に関与する傍ら、2022年に社長直轄の横断組織として発足した「DX推進プロジェクト本部」の事務局として活動しています。DX化の要諦のひとつである「人材育成」を検討すべくDX人材育成の展示会を訪問した際、御社のブースでDXpassを紹介いただきました。
塩原様:
人事総務本部のため、社内の人材アセットの最適配置や、制度・法律アップデートへの対応を主にしています。また、基本的に会社の経営計画を担っているので、順風満帆に経営することで社員の幸福度を向上するために社内インフラを整備する活動もしています。近年はデジタル化を図らなければならない時代になり、対応を迫られていました。デジタル化を目的とした際、デジタルに精通した人を採用する手段はスポニチの知識や熱量がない人材を増やすことに繋がるため、社内の人材を教育しようという判断をしました。そして、DX人材育成の展示会へ向かいDXpassと出会いました。
山本:
ありがとうございます。展示会で弊社を見つけてくださり光栄です。
重複する部分もあるかとは思いますが、今現在組織が抱えているDX及び業務への課題と、DXpass導入時の目的についてお聞かせください。
藤原様:
主力商品である新聞のビジネスモデルが強固であったがために、他業界よりもデジタル化が遅れております。新聞販売市場が縮小していく中、収益改善のためにはDX化が何よりも必須な状況でありながら、その知見や意識が不足していることが課題です。弊社では育成が必要な人材像を「自社の持つアナログのリソースとデジタルの世界を結びつけることができる自社の業務に精通した人材」「通訳のような人材」と定義し、その人材育成を実現することを目的としておりました。
山本:
ありがとうございます。DXpassをどのような指標やご判断で導入を決められたのかお聞かせください。
藤原様:
展示会でのきっかけからオンラインセミナーを拝見し、ご紹介いただいた営業担当者と面談した上で、特別なITスキルを養成する研修や選択制の講座ではなく、研修と現場の業務改善をセットにした現場改善能力の育成を主眼としているDXpassがわが社に最適であるとの判断をしました。
山本:
展示会では参加企業が多く、優れたサービスも豊富にあったかと思われますが、候補に挙がっていたサービスはどれくらいありましたか?
藤原様:
候補に挙がっていたところもありましたが、「動画が見放題」と言われてもピンと来ないですし、データサイエンティストを育てるサービスなども勉強にはなりましたが弊社の社員が取り組むイメージはわきませんでした。DXpassの担当者が、DXに関する情報をわかりやすく説明してくれたこと、取り組みやすい値段であったこと、こちらの課題感を汲み取ってくれたことが参加のハードルを低くしてくれました。
塩原様:
コスパがすごく良いですね。また、検定や個人学習等はやらされ感が出てしまいますが、DXpassはテストや課題が共通であるため「他の皆もやっているからやらざるを得ない」、という状況をつくれたこと、やらされている人でも身になる内容になっていることが良かったです。
山本:
ありがとうございます。DXpassの検討から導入に至るまでのプロセスについてお聞かせください。
藤原様:
DX推進プロジェクト本部事務局の検討議題として提起し、トライアルを経て導入判断をすることを決定しました。トライアルには、可否判断を行う常務取締役(プロジェクト本部次長)や関係役員、プロジェクト事務局委員計5名が参加し、実体験を基にして導入判断を行いました。また、本稼働後の研修の参加者階層についても同じく事務局会で討議して決定し、プロジェクト本部会を開催し各部門の理解を得ました。社内稟議は同プロジェクトの取り組みの一環としてプロセスも含めて提案し、各所に承認いただきました。
山本:
ありがとうございます。参加していただいた階層の方々はお忙しい役職の方が多いかと思いますが、反発はなかったですか?
塩原様:
関係の役員たちが先にトライアルに取り組んでいたことも大きく、そういった声はあまり聞きませんでした。
山本:
よかったです。DXpass導入により期待する変化についてお聞かせください。
藤原様:
幹部クラスの社員を受講対象者として進めていますが、現在の業務に習熟しリソースを熟知した幹部クラスの社員が、DXの意識や具体的な知識、業務改善の方法を身につけることで、能動的にデジタルツールや技術による業務改善や新規事業を創出する、もしくは発案する部下の取り組みを後押しする、ことができるようになることを期待しています。まずは現場の事を一番よくわかっている幹部が現在の課題を認識し、改善案を検討する。まずそこまでの変化をしてくれればいいと思っています。それ以降はアウトソーシングしても良いので、まずは部下が言っていることがわからない状態を変えたいです。言う側も「あの人に言ってもわからないから」となってしまわないような環境をつくりたいです。
山本:
先程「通訳のような人材が欲しい」と仰っていましたもんね。環境を変えることでアイディアも出やすくなると思うので、とても社員様思いだなと感じました。
山本:
DXpassを受講してのご感想をお聞かせください。
藤原様:
普段触れることの少ないDXの知識を学ぶとともに、身近なテーマでの業務改善策を考えることができたため、DXによる今後の業務改善や新規事業創出をイメージしやすくなったのではないかと考えます。また、DXが必須であるとの危機意識が高まったと感じました。DXプロジェクトが言っていることが理解できるようになった、問題解決までには至らないけれどイメージはしやすくなった、という声を参加者から頂いています。
塩原様:
各自で視聴する動画は若干改善の余地があると思いましたが、ワークショップの出来は良かったです。取り組んでいるうちに時代や自身の変化に気付かされたというのが特に良かったです。自分はわかっていると思っていたけれど実は全然できないのだ、といったことに気づくことが大事ですよね。弊社も社用の携帯電話をスマートフォンに変えた時とてもブーイングがきましたが、今はもうスマホの価値をみんなが理解していますし。時代の変化に気づけることは重要な事です。
宮森:
もうスマホなしの生活には戻れないですもんね。
山本:
ありがとうございます。DXpassの受講により得られた価値、またそれはどういった場面で感じられたかお聞かせください。
藤原様:
DXに関して、ほとんどの社員がどうしていいか分からなかった、もしくは必要性を感じていなかったものが受講により身近なものになったことが何よりの価値であると考えます。デジタルツールを活かした業務改善アイデアが発案され、チャットボットの導入など、いくつかは動き始めています。その際も、「チャットボットとかはうちにはいらないんじゃないの?」といったネガティブな意見がなくなったことが価値だと思っています。
山本:
ありがとうございます。社内での反響についてお聞かせください。
藤原様:
まだ幹部クラスのみの受講であるため社内の反響は限定的ですが、あまりデジタルに興味のなかった幹部の多くから、感謝や納得の言葉をいただきました。組織内で262の法則は仕方ない部分もあるので、悪く言う人もいるかもしれませんが、多くの人には一定の理解を頂けているように思います。
塩原様:
社内の幹部たちが研修に取り組んでいると全体に推進しやすいですね。「新聞ビジネスの知見はプロだけど新規ビジネスはプロではないんでしょ?」と若い世代に思われないように変化していくことが大事です。DXpassに取り組んだからと言ってすぐに経営的な結果が出るわけではないですが、変化を嫌う風潮が少なくなったので環境が良くなったと思います。経営企画室は「スポニチは変わりましょう」と言っているけれど結局なかなか変われなかった状況が、DXpassに取り組んで変化の機会を得られたのか、少しずつ変わっていける兆候が見られるように思います。
山本:
DX人材を育成された組織で今後チャレンジしたいことや、組織として目指したい姿をお聞かせください。
藤原様:
わが社は現在75年ですが100年以降も持続可能な企業を目指し、デジタルツールや技術の利用で現在の業務を大幅に効率化させ、新聞に変わる新たな収入モデルをつくり出すことを目指しています。
山本:
「新聞に変わる新たな収入モデルをつくり出す」と仰っていましたが、新規事業開発のプロジェクトがあるのか、DX本部の中に新規事業開発のチームがあるのか、ですとどちらでしょうか?
藤原様:
新規事業開発の専門組織はありませんが、自分の部署で新規事業のアイディアが出てくるようになるのが理想です。
山本:
組織化されていなくとも、社内の様々な部署からボトムアップ的に新規事業やアイディアが生まれていけばよいですよね。
塩原様:
ここ5年間で社内で発生した新規収益はボトムアップの商品です。上が考えたもので売れるものはあまりなくて、自然発生でちゃんとした手続きを踏んでいない商品が売れることがありました。
山本:
そうだったのですね。教えて頂きありがとうございます。管理者の方々から見て、人材のDX適性は、適性診断前後でイメージの変化はありましたか。また、診断結果や研修受講後の成果は、人事評価にどのくらい影響すると思われますか?
藤原様:
大いにイメージの違いを感じました。デジタルに関わる仕事をしている方よりアナログ職場の方の適性が高いという結果がいくつも見られました。見た目じゃわからないですね。診断結果については人事評価への連動は考えておりませんが、弊社の進めているデジタル部門への人事シフトの際の参考資料とする可能性はあります。研修受講後の成果に関しては、DX推進により課題解決に貢献するような事例が生まれたら評価対象になるかと思います。
塩原様:
人事評価に連動するのはなかなか難しいです。適性があるからという理由だけでデジタル部門への異動を伝えるとすれば辞める人も出ると思います。ハイパフォーマーを異動させるのは大変です。
山本:
そうですよね。診断結果はあくまでも参考材料として扱っていただければと思います。
山本:
最後に、DXpassを今後受講、検討している企業へのメッセージをお願いします。
藤原様:
デジタルにほど遠い位置にいると思われる社員でも、動画学習やワークショップなどの工夫でハードルが低く設定されており、平易に取り組み易い研修であると感じています。弊社と同じような課題感や人材育成のイメージをお持ちの企業様にはぜひお勧めと考えています。ITパスポートを取るような人材やデータサイエンティスト、プログラミングといった高度な人材育成を求めている企業は合わないと思いますが、弊社と同じような課題感や人材育成のイメージをお持ちの企業様には合っています。
塩原様:
DXpassは総合的なバランスが良いです。動画だけでは身に付かないこともあるので、診断・動画・課題・ワークショップの「DX入門編パッケージ」が低価格で提供してもらえるのがとても良いと思いました。新入社員がスーツを買う時にこだわった単品よりも必要なものがたくさん入ったスーツセットを購入するのと同じように、DXの入門としてパッケージになっている研修を導入検討されている企業にとってはおすすめです。
山本:
ありがとうございます。導入された企業内の具体的な状況や製品の価値等、導入を検討されている方々にとって有益な情報を詳細に深堀させていただき感謝申し上げます。
改めまして本日はありがとうございました。
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